読書、時々アート

読書によって日々成長していくためのブログ。たまに美術館の観覧記録なども。

美術のみかた 自由自在

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豊橋市美術博物館で開催中の、「美術のみかた 自由自在」展に行ってきました。大阪にある国立国際美術館が所蔵している現代アートの作品の中から、55点を展示しています。

上の写真は美術館前の垂れ幕ですが、一瞬裏側から撮ったのかと錯覚しますが、よく見ると一部の文字が反対になっているだけ。いかにも現代アートらしい、遊び心のある垂れ幕ですね。

 

基本情報

名称:美術のみかた 自由自在

会期:2019年2月16日(土)~3月24日(日)

会場:豊橋美術博物館

www.toyohashi-bihaku.jp

 

印象に残った作品

館内は撮影禁止でしたので、購入した図録の中から、特に印象に残った作品をご紹介します。

 

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ポスターのある風景 パブロ・ピカソ 1912年(図録撮影)

まずは、ピカソピカソはスペイン出身ということもあって闘牛をモチーフにした作品が多く、そういった作品は自分としてはあまり馴染みがないのですが、キュビスムの作品の中でも、こういった風景や静物を多角的に描いた作品は、絵画の中でも私が最も好きなジャンルの一つです。

ジィ〜っと見ていると、自分がその風景の中に入って、周りをあちこちから見ているような、不思議な錯覚に襲われます。これも、そんな作品。

 

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空間概念、期待 ルーチョ・フォンタナ 1962年(図録撮影)

青く塗ったキャンバスに4本の切り込みを入れた、絵画の概念を覆す作品。絵画といえば「二次元」というのは実は思い込みで、奥行きのある三次元の物体であるということを認識させられます。なんとなく、このザっと切っただけの4つの切り込みのバランスが絶妙のような気がする。

 

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箱に生まれて 島袋道浩 2001年(図録撮影)


ただのダンボールの箱が美術館の隅に置いてあると思ったら、中から何やら関西弁でぶつぶつとしゃべってる声が聞こえます。「こんにちは〜、箱です。・・・う〜ん、そうやなぁ。箱に生まれてきて、よかったと思うで。いろんなとこ行けるしな。」などと、語りかけてきます。

面白い。しゃべるアートには初めて出会った。最初から最後まで、しゃがみこんで聴いてしまいました。

 

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日本語の文字(この七つの文字) 高松次郎 1970年(図録撮影)

「この七つの文字」という七つの文字が、この七つの文字そのものを表している。六つでも八つでもなく、七つの文字だからこそ、この七つの文字を表す。う〜ん、これも、見ているとなんだか不思議な感覚に襲われます。

 

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フィレンツェ ゲルハルト・リヒター 2000年(図録撮影)

なんかこの作品、どこかで見たことありますね。お目にかかれて光栄です。思っていたよりも、実際は一つ一つがかなり小さいです。写真の上から絵の具を塗ってるんでしょうけど、カメラのレンズに絵の具を塗りたくって撮ったようにも見えますね。「絵画」と「写真」、その違いはなんだろうか、と考えさせられる気がします。

 

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L.H.O.O.Q マルセル・デュシャン 1919年(図録撮影)

モナ・リザに落書きのようなひげを描き、下部には鉛筆書きで「L.H.O.O.Q」の文字。最初見たときは、小学生の落書きみたいで笑っちゃいましたが、「LHOOQ」は英語の「LOOK」の意味のほかに、一文字ずつフランス語で読むと「彼女のお尻は熱い=彼女は発情している」という意味になるそう。

作品に描かれていない下半身が、想像力をかき立てる・・・のでしょうか。

 

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おもちゃの兵隊 ヴィック・ムニーズ 2003年(図録撮影)

離れてみると少年の絵ですが、近づいてみると無数のおもちゃの兵隊でできています。南北戦争で戦った少年兵がモチーフだそうで、おもちゃで遊びたい盛りの少年が戦地に赴かなければならない矛盾が描かれています。さらに、「三次元と二次元」、「部分と全体」など複数の意味合いを持たせて問題提起をしているそうです。奥の深い作品ですね。

 

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猫彫刻 落合多武 2007年(図録撮影)

本展の最後を飾るのは、カシオの電子キーボードに猫の彫刻が置いてあるという、謎の作品。このキーボード、コンセントにちゃんとささっていて、「ファ~~~~~~~~~~・・・」みたいな音がずっと鳴っている。どういう意図で作ったのだろう・・・。とか考えてはダメなんだろうね、これは。

 

ひとこと

会場はコンパクトでしたが、中身が濃く、一つ一つの作品が考えさせられるので、2時間近くあっという間に過ぎてしまいました。今までの西洋美術とはまた違った面白さを感じることができました。

現代アート展は初めてだったのですが、もっといろんな作品見てみたいと思いました!