新・北斎展
六本木の森アーツセンターギャラリーにて開催中の、「新・北斎展」に行ってきました。
基本情報
名称:新・北斎展 HOKUSAI UPDATED
会期:2019年1月17日(木)〜3月24日(日)
会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ 森タワー52階)
平日の16時頃だったので、チケット売り場やエレベーターでは待ちませんでしたが、会場内はすごい人でしたね。見れなくて諦めた展示もいくつかありました。土日はもっとすごいんでしょうね。
西洋画はこれまで何度も見てますが、日本画は初。葛飾北斎ってすっごく有名ですけど、どんな人だったんでしょう。公式サイトには、以下のようにあります。
葛飾北斎(1760~1849)は世界で最も知られた日本の芸術家の一人です。
江戸時代後期に浮世絵師として登場してから
90歳で没するまでの約70年に及んだ北斎の画業は、
常に新たな絵画の創造への挑戦の連続でした。
度重なる画号の改名は有名ですが、画風もまた大胆に変え続けました。
つまりは自らをUPDATEし続けた人生に他なりませんでした。
画号は、春朗 → 宗理 → 葛飾北斎 → 戴斗 → 為一 → 画狂老人卍 と変わっていったそうです。自らをUPDATEし続けた人生、自分もそうありたいものです。(最後の名前はすごいですね)
当時の時代背景
葛飾北斎の生きた1760年~1849年は、江戸時代後期でした。天明/天保の大飢饉、伊能忠敬の測量、大塩平八郎の乱などがあった時代です。北斎が亡くなってからまもなくして、浦賀にペリーが来航しています。開国のちょっと前なんですね。
ヨーロッパでは、フランス革命が起きていた頃です。ナポレオンの時代ですね。画家では、自然主義のカミーユ・コロー、写実主義のジャン・フランソワ・ミレー、北斎の晩年にはカミーユ・ピサロやエドゥアール・マネなど、初期の印象派の画家たちが出始めてきた時代になります。
北斎の絵は多くの印象派の画家たちに影響を与えたと言われていますが、北斎が亡くなってからペリー来航で開国したおかげで、浮世絵がヨーロッパに広まっていき、モネやゴッホにも影響を与えたのかな~、と思ったけど違うか。もともと長崎とオランダは貿易してましたから、そこから広まっていったのでしょうね。
印象に残った作品
館内は撮影禁止でしたので、購入した図録から、いくつか印象に残った作品をご紹介します。
まずは春朗期の作品。これ最初に見たとき、衝撃を受けました。ものすごい緻密。この細か~い線はどうやって描いたんだろうとか、真っすぐの線はどうやって引いたんだろうとか、色はどうやって塗ったんだろうとか、気になりました。書き方については、あとから分かるのですけど。
葛飾北斎期の作品。この、表面の水の感じ。ほとんど黒の濃淡だけで、これだけの透き通った感じを出せるのがすごいです。実際に間近で見ると、金属みたいに輝いて見えた。
これは戴斗期。色を塗る前の、下書きのような作品ですが、見てください、このバランス。なんと表現して良いか分かりませんが、大胆な構図のように見えて緻密に計算し尽された感のあるバランス。圧倒されてしばらく見入っちゃいました。
言わずと知れた、冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏。為一期の作品。葛飾北斎期ではないのですね。
この作品ができあがるまでの版画の板が順番に並べてあったのですが、いろんなパターンに堀った板にそれぞれの色(顔料)を塗って、少しずつ色を付けていくことで、完成図ができあがるということを初めて知りました。
絵を描く「絵師」、板を掘る「彫師」、摺って色を付ける「摺師」というそれぞれのプロが、それぞれ寸分の狂いもなく仕上げることで、ここまで完成度の高い浮世絵が出来上がっていたんですね~。
最後に、晩年の「画狂老人卍」期の作品。この絵もすごく有名ですよね。なんというか、すごい迫力があって、しばらくガラスにへばりついて見ちゃいました。この絵は亡くなる直前くらいのものだそうです。90歳で亡くなる直前とは思えないくらい、力強いですよね。すごすぎます。
まとめ
いやぁ、日本画は初めてでしたけど、どの絵も「大胆かつ緻密」という表現がぴったりでしたね。これまで見てきたヨーロッパの絵が雑に見えてくるぐらいです。観覧時間は2時間くらいでしたけど、あっという間でした。公式図録も2,800円と良心的(こないだのル・コルビジェ展は4,500円もしたので諦めました…)で、迷わず購入し、大満足です。
3月24日(日)までとのことですので、お近くの方は、ぜひ行かれてはいかがでしょうか!